2024年 第十回コラム じつは身近な 仏教用語 PART8

★じつは身近な 仏教用語を3選ご紹介(や行・ら行)★

 

日常何気なく使っている言葉の多くは、実は仏様の教えに由来しています。
日常に溶け込み当たり前に使っている言葉の、元々の意味やどのような仏教語に由来しているのかを簡単に解説します。
言葉の本来の意味、用法を知って頂く事で、小難しく感じる仏教用語に親しみを持って頂き、仏教の魅力に触れて頂ければいいなと思います。

 

 

油断

 

油断大敵、油断は怪我の元、などの諺にも使われます。

また、油断するという動詞としても用いられる言葉です。

〈油断〉の起源は多くの仏典に垣間見られます。

例として、『涅槃経(ねはんぎょう)』には、次のような説話があります。

ある王様が臣下に油の入った一つの鉢を持たせ、行動する時にもし油を一滴でもこぼせば、お前の命を断つであろうと告げ、抜刀した家来をその臣下の後につけさせました。

鉢を持った臣下は注意深くその鉢を持ってゆき、ついに一滴も油をこぼすことがなかったといいます。

このように注意深くあることで、油を断つことがなかった、という事から〈油断〉という言葉が生まれました。また初期仏典には、神仏に捧げる灯火を絶やさぬよう、油を断たないように大切にする、という教えも多く存在し、そこから〈油断〉という言葉が生まれたという説もあります。

いずれにしても、古代インドでは〈油〉というものが大変貴重な物であり、不注意で油を損失してしまわないように、戒めの言葉として〈油断〉が生まれました。

 

利益

 

一般的には「りえき」と読みますが、仏教語としては「りやく」と読みます。

仏の教えに従って得られた恵みや幸せのことを指します。

サンスクリット語[s:upakāra(ウパカーラ)][s:artha(アルタ)]などが当てられます。

いずれにしても「ためになること」を表します。

仏菩薩からの霊験を「ごりやく」と言います。

利益には自利(じり)と利他(りた)があり、自利の利益を功徳、利他のそれを利益といいます。

 

霊魂

 

一般的は、身体の中に存在し、死後はそこから離れていくと信じられている見る事の出来ない存在と認識されています。

〈霊〉〈魂〉〈命〉〈心〉とも近い存在です。

国や地域によって捉え方に差異があります。

インドでは[s:jīva(ジーヴァ)]という言葉が近い意味を持ち、身体を支え、生き物を生かす命というような原義があります。

中国では、霊魂に関する事柄は〈魂魄(こんぱく)〉や〈神(しん)〉という考え方が類似します。

日本においては、仏教受容後に亡き両親や身内を〈先霊〉として扱い供養を行う儀礼が増えてきました。盂蘭盆会などの先祖供養が行われるなかで、次第に伝統的な祖霊観と仏教の成仏観が重なっていきました。

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