【文化時報提供】病気だった私が、首相辞任から学ぶこと

※文化時報2020年9月12日号に掲載された社説「首相辞任から学ぶこと」の全文を転載します。

「治療は極めて難しいですが、一緒にがんばりましょう」。いたわりの言葉を掛けてくれた医師が、気の毒そうに表情をゆがめたのを、私は見逃さなかった。そうか。潰瘍性大腸炎とは、それほど厳しい病気なのか―。

2007年春、私は原因不明の高熱と下痢に苦しめられていた。1日に何度も腹痛に襲われ、そのたびにトイレへ駆け込んだ。市販の薬でどうにかやり過ごそうとしたが、我慢できずに病院へ行き、潰瘍性大腸炎と診断された。

急いで付け加えると、これは誤診だった。実際は異なる病気であり、約1カ月半の入院治療で完治した。当時は30代前半。新聞記者としての下積みを重ね、これから結果を残せるかどうかという大事な時期だった。だが、あの苦しみが続いていたら、私は記者を辞めていたかもしれない。

「病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはならない」。安倍晋三首相は辞任を表明した8月29日の記者会見で、そう語った。

持病の潰瘍性大腸炎が再発し、判断力を低下させかねないほどの深刻な病状だったのだから、本来なら潔い辞任の決断だったという評価があってもいいだろう。

だが、「政権を投げ出した」「都合が悪くなって病気に逃げた」との世論は根強い。ある野党議員は、短文投稿サイト「ツイッター」で「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」とまで酷評した。

志半ばで首相の座を降りる無念さや、第1次政権に続いて2度も持病に足を引っ張られた悔しさは、安倍首相自身が一番よく分かっているはずだ。病気はプライバシーに属する問題であり、政策に対する批判から切り離すのが、良識ある言論だといえる。

ただ、組織から見れば、トップの突然の辞任には、批判というリスクが伴うことを覚悟しておく必要がある。

近代日本の帝国議会より歴史のある浄土真宗本願寺派の宗会をはじめ、多くの伝統仏教教団は・・・

 

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