除夜の鐘(じょやのかね)
大晦日と言えば、年越し蕎麦と、「除夜の鐘」。静かな夜闇に響く鐘の音は、過ぎゆく今年を思い返し、来たる新年に希望を寄せるひとときの風物詩ですね。
「除夜の鐘」は古代中国の宋時代が発祥とされています。煩悩や108回鐘を突くのも、中国からの教えによるものですが、いつ頃日本に入ったのか等の詳細は不明です。しかし、煩悩という言葉は平安時代前期の漢詩文集「菅家文草」(900年頃)に残されているので、その頃ではないかと推測できます。「除夜の鐘」としては、江戸時代の「不白翁句集」に一文が残されています。
中国の寺院では、毎月月末の夜に108回、鐘をついていたそうですが、宋の時代になってから大晦日だけになったそうです。鎌倉時代の末に中国から禅僧が来日し、その風習が日本の禅宗の寺院に伝わったと言います。室町時代になると大晦日に梵鐘をつく風習が徐々に広まり、江戸時代には現在のように多くの寺院でつかれるようになったそうです。
師匠(ししょう)
師匠は学問または武術・芸術の師のこと、 歌舞音曲などの遊芸を教える人、 寄席芸人に対する敬称のことを言います。
師匠は、もともと仏教の師のことをいいました。匠とは大工という意味です。師が弟子に、仏道修行の基本的な修行である、戒(かい)[戒律(かいりつ)]・定(じょう)[禅定(ぜんじょう)]・慧(え)[智慧(ちえ)]の三学を育成するそのやり方が、ちょうど工匠が器をたくみに造り上げていくのと同じだというところから、たとえて匠といったのがはじめです。
師匠はその後、学問や芸術、または武芸などを教える人をもさすようになり、近世以後は、歌舞音曲など、遊芸の教授も「お師匠さん」と呼ぶようになりました。あるいは、すぐれた芸人に呼びかけるときの代名詞にも敬称として用いられています。
出世(しゅっせ)
出世とは、社会的に高い地位につくこと、会社などの組織で高い役職につくことをいいます。元の仏教語の「出世」という意味ではさらに難しいことでした。
出世は「この世に出る」ということで、仏さまが仮の姿で人々を救いに現れることを指した言葉のことを言いました。いわゆる「権現(ごんげん)」です。
また、「世間を出る」ということで出家した僧侶のことを呼ぶこともありました。さらに、そういう僧侶が俗世間を解脱(げだつ)して悟りを得ることも「出世」となり、禅宗では寺院の住職になることを「出世」というようになったそうです。合わせて「立身出世」という言葉は、「官寺の住職になる」という栄誉から発展したものと言わています。
日本では公卿の子息が剃髪して出家し僧侶になると、彼らは特に昇進が早かったので、僧侶が高い地位につくことを出世と呼ぶようになり、これが一般社会にも広まり、現在では階段を登るような意味でつかわれています。