小出遥子(こいで・はるこ)
釈先生、そして、この連載をお読みくださっているみなさん、大変ご無沙汰しております。小出遥子です。前回、釈先生から、この往復書簡のバトンを受け取ったのが、昨年の秋でしたので、実に半年以上、お返事をお待たせしてしまったことになります。まずは、ただただ、ごめんなさい。この間、私のあたまの中には、いつだって「テラ未来予想図」のことがありました。「早くお返事を差し上げなきゃ……」という焦りにも似た気持ちが、どんな瞬間も、私のこころをつついていました。しかし、どう頑張ってもまったく筆が進まず、結局、原稿の提出がいまになってしまいました。格好つけた言い方をゆるしてもらえるのなら、「時が満ちるのを待っていた」ということになるのですが、まあ、単なる言い訳にしか聞こえないだろうことはわかっています。
この半年以上の間、私がいったいなにをしていたのか、どうして「テラ未来予想図」を描くことをためらっていたのか、まずは、すべてを正直に書かせていただきますね。今回の原稿は、前回、釈先生からいただいたお手紙へのお返事というよりは、私個人の独白に近いような内容になってしまいますことを、先生にも、読者のみなさんにも、最初にお詫びしておきます。しかし、いま現在の私という人間の立ち位置を明らかにしておかないことには、先に進めないような気がしましたので、このような形式を取らせていただきました。
■こうなることは「知っていた」
現在、新型コロナウイルスの蔓延、それにともなう経済の低迷によって、世界は未曾有の大混乱の真っ只中にあります。ついこの間まで「当たり前」だったことが、いまはまったく通用しなくなっている。すべての前提がひっくり返ってしまったような感覚があるし、それは、実際にその通りなのでしょう。宗教の分野も例外ではありません。これまでの「常識」が目の前で音を立てて崩れていき、これからどのように「宗教活動」を進めていけばいいのか、途方に暮れている宗教関係者は、いま、世界中に溢れているのではないでしょうか。