日本のお経について
お葬式や法事などでよく聞くお経についてみなさんはどれほど知っていますか?今回はお経をあげる目的と歴史について見て行きたいと思います。
1 お経をあげる目的
2 お経の歴史
3 お経はなぜ漢文なのか
1 お経をあげる目的
お経をあげる目的は大きく分けて二つあります。
まず一つ目は亡くなった方のためです。お経とは、”仏”すなわちお釈迦様の教えのことを言い、その教えをあの世へ旅立った人に解いて聞かせるためのものです。生前にこの世の俗事に追われて仏教の修行をする暇がなかった故人に対し、この世を離れた際には仏道修行に専念できるので死者のために仏の教えを説いて聞かせるためにお経を読み上げているのです。
二つ目の目的は生きている人たちのためです。先ほども記したようにお経はお釈迦様の教えであり、その言葉を弟子たちが書き記したものです。お経は今日を生きる人が仏の教えを学ぶことで、悩み・迷い・悲しみを乗り越えようと説かれた仏法であるため、今を生きる私たちの為にもあげられているとも言われています。
2 お経の歴史
お経はお釈迦様が直接おっしゃった言葉がそのまま伝わったものだと信じられていましたが、実はそうではなくお経の始まりはお釈迦様が亡くなったことによりできたものです。
お釈迦様が亡くなる前に弟子たちに自灯明・法灯明(自らを灯明とし、法を灯明せよ)し、”各自それぞれの判断で教えに照らせ合わせよ”という言葉を残しました。弟子たちは、各自が勝手に解釈し自分の都合のいいように伝道すればお釈迦様の真意が伝わらなくなることを危惧し、集会を開きお釈迦様の教えを確認し、二百五十もの戒律を守ることにしました。ただこの戒律は専門的で難しく、俗世を捨て修行ができる出家者は理解することができても、在家者には難しかったのです。そこで在家者の中から才覚のあるものが、民衆にもわかりやすく説明にあたることによって庶民にとって身近な存在になっていきました。やがて仏教にも二つの考えが生まれ、出家して修行することにより救われるという考えの仏教を小乗仏教といい、在家者を中心とした全ての人が救われるという考えの仏教を大乗仏教に分かれて行きました。そして日本に伝わって来た仏教は大乗仏教であり、そのお経(経典)は、お釈迦様の考えを小乗仏教者が伝えた経典をもとに、大乗仏教者がお釈迦様の教えをそのままではなく、在家の庶民も救うために後世の仏教徒たちが、これこそお釈迦様の真の教えであるとの信念のもとに創りあげたものなのです。
3 お経はなぜ漢文なのか
お経はなぜ漢文で書かれているか疑問に思う人もいるでしょう。もともと仏教はインドで誕生したので、当然お経も古代インドの言葉であるサンスクリット語(梵語)で書かれていました。仏教はやがて中国に伝わると、中国では国を挙げて経文の翻訳に取り掛かりました。そして何年もの時間をかけ、膨大な量のお経の漢訳を完成させ、その経文が日本へ伝わったのです。なぜ日本人は漢文を和訳しなかったかというと、昔の日本人の知識人は漢文の読み書きができていたからだと言われています。そのため姜文も漢文のまま十分理解でき、経文を苦労して訳す必要がなかったのです。