終活をキーワードに地域包括ケアシステム=用語解説=を充実させようという取り組みが、神奈川県厚木市で進んでいる。終活カウンセラーと公的機関、お寺が協力し、「お寺『終活カフェ』」を開催。「心、体、先の不安をケアできる交流の場」と位置付け、1年間で約30人がメンバー登録した。地域包括ケアシステムにお寺を活用する事例として注目を集めそうだ。
営業・宗教勧誘は行わない
厚木市の住宅街にある曹洞宗長谷寺(ちょうこくじ)。約千年の歴史がありながら焼失を繰り返し、1993年に加藤英宗住職(51)が再建した。檀家を持たない一方で、ヨガや詩吟、坐禅会などの〝寺子屋〟に人が集まる。
ここを会場に開く「お寺『終活カフェ』」で中心的な役割を果たしているのが、終活カウンセラー上級の資格を持つ「神奈川葬祭」企画営業部次長、髙橋良彦さん(56)。仕事で付き合いのあった長谷寺と厚木市南毛利地域包括支援センターをつないだ。
カフェでは、営業活動や宗教勧誘を一切行わない。昨年6月に「地域の相談窓口『地域包括支援センター』ってなに?」をテーマに第1回を開催。以降は老人ホームの選び方やエンディングノートの活用法など、参加者から提案のあった講演会を開いてきた。
加藤住職の法話や後半に行うカフェタイムも好評で、参加者は終活にまつわるさまざまな悩みや苦労話を語り合う。
髙橋さんは「死生観にたけた宗教者が参加すれば、きちんとした地域包括ケアシステムが構築できる」と話している。
弔いを宗教に任せる
髙橋さんは「終活に関する相談は、『死んだら自分はどうなるのか』と死生観に踏み込んでくる。医療・介護の専門職では対処が難しい」と話し、宗教者の役割に期待する。
「お寺『終活カフェ』」は、お寺で開く流れが自然にできた。もともとは、市内の主婦が会員制交流サイト「フェイスブック」で始めた「老後を真剣に考える会」が出発点。ファミリーレストランで情報交換する内輪の勉強会で、そこに髙橋さんと長谷寺の関係者も参加していた。
髙橋さんは「葬儀で後悔する人をなくしたい」との思いから・・・
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