第七十七回コラム「仏教用語について part19」

檀那(だんな)

 

 檀那(旦那)は「夫」という意味でも使われますが、ほかにもお客様のことや「若旦那」なんていうふうにも使われたり、様々な意味で使われることがあります。この檀那の語源はインドにあります。

 この檀那(旦那)という言葉ですが、サンスクリット語の「ダーナ(檀那)」が語源で、布施、または布施をする人という意味です。寺院や僧侶からすると、布施をしてくれる人たちのことが檀那といい、それが転じて、財産家や夫、パトロンなどのことをそのように呼ぶようになったそうです。経済的にも精神的にも支えてくれる存在が檀那(旦那)ということになります。そのような意味から、男性だけなく女性も、また老いも若きも経済的に誰かを支える力を持っていれば、みんな檀那(旦那)になれるということです。反対に経済的に支えにならない人のことは檀那(旦那)と呼んではいけないということになります。

 このことから、現代ではお金を稼いで来て奥さんや子供の面倒を見る主人のことを「旦那」と呼ぶようになったようです。

 

床の間(とこのま)

 

 床の間というのは、仏画を掛ける壁と、その前に置いた台(三具足を飾る台)が造り付けになったものです。書院は書見のための場所、違い棚は本棚の変形したものです。いずれも僧侶の信仰生活の日常の必要から生まれたものですが、後世にこの三者が一体になって書院造りの様式に発展し大成してからは、その意匠的な評価が高まりました。それが次第に地位と権カの象徴として取り上げられる傾向が顕著になり、床の間は規模も形式も豪華なものに変わっていきました。また、昔の床の間は部屋の入り口から見て奥にあるプライベートな空間のことで、仏教僧がここで集中して写経などを行うために使っていました。

 なぜ床の間と呼ばれるかについては、奈良時代あたりから屋敷に存在した皇族や貴族などが座っている一段高い場所を「床(とこ)」と呼ぶようになったから、と言われています。床の間はお仏壇の遺風であるともいわれています。

 

 

善男善女(ぜんなんぜんにょ)

 

 善男善女は「このお寺には、いつも多くの善男善女が訪れます。」このような例で使われる言葉です。善男善女は「善男子善女子」の略で、サンスクリット語の訳語です。元来は良家男子,良家の女子という意味を表す言葉でしたが、そこから尊敬すべき男女、仏教に帰依した人々でとくに浄土教では念仏者をいうようになったそうです。現在では、一般の人々、大衆といった意味で使われています。

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