2026年第五十二回コラム「仏教のルールを日本に定着させた情熱:律宗」

律宗(りっしゅう)は、教理の探求以上に、出家者が守るべき行動規範や生活のルール(戒律)の実践を最重視した宗派です。

項目
詳細
開祖
鑑真(がんじん)
本山
唐招提寺 (※西大寺は鎌倉期に発展した真言律宗の本山)
本尊
釈迦如来
主要な経律
『四分律(しぶんりつ)』、『梵網経(ぼんもうきょう)』
主要な高僧:叡尊(えいそん)、忍性(にんしょう)など
    • 戒律(かいりつ)の徹底:


    • 仏教において、自らを律する道徳的な約束事を「戒」、集団生活における規則を「律」と呼びます。律宗は、この戒律を厳格に守り、正しく伝授することを目的とした実践的な宗派です。
    • 鑑真の命懸けの来日:


    • 当時の日本には、正式な手続きを経ずに僧侶を名乗る者が増え、税逃れなども横行して仏教界の秩序が乱れていました。そこで、正しい戒律を授けることのできる最高峰の高僧として、唐から招かれたのが鑑真です。彼は度重なる難破や失明という凄まじい苦難を乗り越え、6度目の航海でついに日本の地を踏みました。
    • 日本仏教の「質」を高めた資格制度:


    • 来日した鑑真は、まず東大寺に戒壇(受戒のステージ)を築き、聖武上皇らに正式な受戒(戒律を授ける儀式)を行いました。これにより、それまで形骸化していた日本の仏教界に「世界基準の正統な資格授与システム」が確立され、真の意味での国を導く仏教へと生まれ変わりました。その後、鑑真は私寺として唐招提寺を開き、多くの弟子を育てました。

唐招提寺の静寂に包まれた境内に立つと、正しい仏教を日本に根付かせるために生涯を捧げた鑑真の、揺るぎない意志と厳格な精神を感じ取ることができます。
次回以降は、日本の伝統仏教における奈良仏教以外の10宗派について、4つの主要な系統ごとにそれぞれの教義と特徴を解説します。

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