2024年 第十六回コラム  仏教用語 

身近な仏教用語

 

日常用語、元をたどれば仏教用語たくさんあります。

 

普請(ふしん)

家を建てたり改築したりするとき、よく「普請」という言葉を使います。「道普請」という言葉もあります。普請とは、建築とか土木工事のことを言うようです。

普請は、仏教では、功徳を普く請いねがうという意味で、ひろく寄付をつのり、労役に従事してもらって、お堂や仏塔などの造営、修理をすることなのです。

それがその後、一般家庭の家屋などを建築したり修理する場合にも、使われるようになりましたが、最近では、住宅ローンで資金を借り入れて建築することが多くなったせいか、あまり普請という言葉は聞かれなくなりました。

学生(がくしょう)

仏教では、学生は「ガクショウ」と読み、学匠とも書きます。もとは寺院に奇寓し、仏教以外の学問を学ぶ者に名付けられたようですが、日本仏教会では、仏教を学ぶ者に用いています。

真言宗の金剛業学生、胎蔵業学生や、海を渡って大陸に学ぶ人を留(る)学生、学んで帰国した人を還(げん)学生という具合です。

学者も学徒も、もともと同じ意味でした。比叡山を開いた伝教大師は、山内で学問をする学生たちの学則ともいえる『山家学生式(さんげがくしょうしき)』を著しています。

比叡山の衆徒は、学生である大衆と、一山の雑務を担当する堂衆とに分かれていました。

親鸞聖人は堂僧であったと伝えられています。常行堂に奉仕しながら、常行三昧を修める不断念仏僧だったようです。

いずれにしても、学生とは学問に従事する生徒のことですから、しっかり学問してくださいよ。

 

玄関(げんかん)

家の正面の入り口を「玄関」と呼んでいます。表入口という意味なのでしょう。みえを張って外観だけを豪勢にみせようとすることを「玄関を張る」といい、面会させないで客を帰らせることを「玄関ばらい」といいます。

この玄関が仏教語なのです。本来は建物の名前ではなく、玄妙な道に入る関門という意味で、奥深い教えに入る手始め、いとぐちを指していました。「禅門に入る」などがそれです。

この仏教語が建物の名前となり、禅寺の客殿に入る入り口を指すようになりました。

やがて、室町時代から桃山時代にかけて盛んになった書院造りに、その形式がとり入れられましたが、まだ庶民住宅には造ることを許されていませんでした。

江戸時代になって、民家や一般の建物にも広まり、明治以降は現在のように、正面入り口を呼ぶようになりました。

関連記事

  1. 【お知らせ】“明日の寺院運営を考える”勉強会のご案内(僧侶および寺族向け)

  2. 第九回コラム「最澄の生涯について」

  3. 第5回葬儀・法要コラム「不幸の知らせを受けた際の対応について」

  4. 第十回コラム「空海の生涯について」

  5. ad300x250-2

    クローズアップDHARMA ~仏像を通しての「他力と自力」~

  6. 【お知らせ】第8回お寺の窓口会in東京