2024年 第十一回コラム じつは身近な 仏教用語 PART9

★身近な 仏教用語を3選ご紹介★

 

日常用語、元をたどれば仏教用語たくさんあります。

 

学生(がくしょう)

 

 

仏教では、学生は「ガクショウ」と読み、学匠とも書きます。もとは寺院に奇寓し、仏教以外の学問を学ぶ者に名付けられたようですが、日本仏教会では、仏教を学ぶ者に用いています。

真言宗の金剛業学生、胎蔵業学生や、海を渡って大陸に学ぶ人を留(る)学生、学んで帰国した人を還(げん)学生という具合です。

学者も学徒も、もともと同じ意味でした。比叡山を開いた伝教大師は、山内で学問をする学生たちの学則ともいえる『山家学生式(さんげがくしょうしき)』を著しています。

比叡山の衆徒は、学生である大衆と、一山の雑務を担当する堂衆とに分かれていました。

親鸞聖人は堂僧であったと伝えられています。常行堂に奉仕しながら、常行三昧を修める不断念仏僧だったようです。

いずれにしても、学生とは学問に従事する生徒のことですから、しっかり学問してくださいよ。

 

縁起(えんぎ)

 

チューリップの花は、その球根から咲きます。球根が原因(因)で花は結果(果)です。しかし、球根だけでは花は咲かず、温度・土質・水分・肥料・日光・人間の細心最新の手入れなど、さまざまな条件(縁)が球根に働いて花は咲くのです。

このように、すべてのものには、必ずそれを生んだ因と縁とがあり、それを因縁生起=縁起というのです。現実には、因と縁と果とが複雑に関係しあい影響しあって、もちつもたれつの状態をつくっています。『阿含経』に「これある故にかれあり、これ起こる故にかれ起こる、これ無き故にかれ無く、これ滅する故にかれ滅す」とあります。

日常、よく「縁起が良い・悪い」という言葉を聞きます。吉凶のきざしという意味なのでしょうが、本来は、他の多くのものの力、恵み、おかげを受けて、私たちは生かされているという、仏教の基本的な教えなのです。

 

迷惑(めいわく)

 

「ご迷惑を、おかけいたします」「迷惑千万だ」から「近所迷惑」「迷惑駐車」まで、迷惑にはいやなめにあって、困ることを意味する日常語としてよく使われています。

迷惑は、もともと、道理に迷い、とまどうことで、どうしてよいか分からないで、途方にくれることを意味していました。

親鸞聖人は、仏の慈悲に包まれて、仏の力に生かされながら、なおも愛欲の絆にしばられ、名利を求めてさまよう自分に対する深刻な内観から、「悲しきかな、愚禿鸞(ぐとくらん)、愛欲の広海※1に沈没し、名利の大山※2に迷惑して……」と『教行信証』に記しておられますが、その迷惑がまさしく、この意味なのです。

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