第四十九回コラム「仏教用語について part7」

豆腐

 

 豆腐といえば、高野豆腐、南禅寺豆腐、空也豆腐などなんとなく仏教に関係するように感じることと思います。

 豆腐自体が仏教用語であるわけではありませんが、豆腐は中国で作られ、入唐僧によって日本に伝えられました。まず寺院に普及し、やがて民間にも広まっていった食べ物なので、仏教に深い関わりがある食べ物といえます。

 肉を口にすることができない僧侶たちにとって、豆腐は重要なたんぱく源として愛用していました。油揚げ、がんもどき、厚揚げなどの材料ともなります。

 

もったいない

 2002年にノーベル科学賞を受賞された田中耕一さんが、「失敗しても、それを捨てる事はもったいない、と実験を続けた事から、この発見が生まれました。」と話し、「もったいない」が一躍有名な言葉になりました。

 「もったいない」という言葉を取り上げましたが、「もったいない」という言葉それ自体は、仏教の専門的な用語ではなく、室町時代に一般化した言葉でした。

 真宗・浄土真宗の高僧である蓮如上人が、真宗教義の味わいを表現する言葉として用いられたという話があります。蓮如上人は、廊下をに落ちていた一枚の紙切れを拾い上げ、

「一枚の紙も、これみな仏法領(仏より恵まれたもの)もったいない。」

と言われた話は有名です。一枚の紙切れを見逃さず、そこから仏法を味わい頂くという感性です。

 このような蓮如上人の話もあり、念仏者(南無阿弥陀仏を称える人)の多くも、「もったいない」という言葉を口にして、大切にしていたことがわかります。

 「もったいない」は単に「無駄にしない」という言葉の意味だけではなく、「かたじけない」と感謝する言葉とも考えられます。

接待

 

 「得意先の社員を接待する」「今夜の接待係を申し付けられた」など、「接待」という言葉が使われるのは、ビジネスシーンでよく使われる、一般的な言葉です。

 仏教では、もともとは布施の一方法で、各地行脚をしている僧侶へのお布施のひとつで、門前でお茶がふるまわれていたことを示した。それが徐々に一般にも浸透し、道行く人にお茶をふるまうことを接待と呼ぶようになったという

 現代でも、四国八十八寺を巡る遍路では巡礼に茶菓をふるまうことをいいます。

現在では、見返りを求めて人をもてなす場合に用いられることもありますが、本来は無償の行為でした。

 

 

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