第四十七回コラム「法華経物語Part7」

宝塔の出現

 お釈迦様が説法をしている際に、急に地面を見つめはじめました。その地面から音もなく巨大な塔がせり上がってきました。塔はまばゆく輝く宝玉で作られており、花が咲き乱れ、たとえようもない美しさでした。この時、宝塔の内部からおごそかな声が響いてきました。

 この声の主は、はるか東方の宝浄という国の多宝如来の声でした。なぜ宝塔内に多宝如来がいるのかというと、自身が入滅する時に自分の体をおさめる大宝塔を建立するように告げて誓願しました。その誓願は将来、尊いほとけたちが法華経を説く時には、どの仏国土であろうとその場所にこの大宝塔を出現させて大衆の上空に止まらせるというものでした。

提婆達多

 お釈迦様は宝塔が出現してから弟子たちに話し始めました。

 お釈迦様はこの世に生まれる以前はるかむかしから法華経を探しもとめてきました。そしてある時、広大な国土を収める王として生まれたことがありました。この時、お釈迦様は最高のさとりを求めて一生懸命努力をしましたが、努力を続けるために王位を捨てて死ぬまで奴隷となってでもその教えを知りたいと国の内外に知らせました。すると一人の仙人が現れました。仙人はお釈迦様に求めている経をもっていると告げました。お釈迦様はその言葉を信じ、死ぬまで仙人のために働くから教えて欲しいと答えました。仙人の世界の人々の寿命は長く、お釈迦様は1000年もの間、仙人につかえて法華経を学びました。こうしてお釈迦様はこのうえないさとりを得て、慈悲の心や黄金の皮膚、偉大な神通力を得ることができました。

 その仙人は提婆達多の前世の姿で、提婆達多は未来の世で天王如来というほとけになるとお釈迦様は言いました。

お釈迦様はさらに続け

 「この提婆達多の話を聞き信じて疑わない善男善女は仏国土に生まれて地獄に落ちることは決してなく、どんな人でも遠い来世に救われる。」

 

伝道の誓い

 お釈迦様は突然、自身の入滅が近いことを弟子たちに話しました。弟子たちは驚き動揺し、お釈迦様が入滅すると世の中は堕落して教えを広めることが難しくなると考えました。

 しかしお釈迦様は何も心配することはないと答えました。お釈迦様の弟子は全員が必ずほとけになることを予言していたからです。お釈迦様は、今ここにいる全ての弟子が法華経を後世まで必ず伝道してくれることを信じて疑わないからでした。

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